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運営堂の森野さんがJADEのSEOメンバーにインタビュー「SEOの秘密ってご存じですよね?」

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こんにちは。運営堂の森野です。

前回前々回の広告の記事はそこそこ読んでいただいたようで喜んでおります。調子に乗ってSEOについても聞いてみよう!となりました。JADEさんには元Googleの長山さんがいますので、SEOの秘密などが聞けるのでは……と期待してインタビューしております。果たしてどうなったんでしょうか。

その他、SEOの実務面について長山一石さんと小坂奈保美さんにお聞きしました。

【もくじ】

 

スパム対策のプロとSEO一筋の二人に聞く

森野今回はJADEさんのSEOについて長山さんと小坂さんにお聞きしたいと思います。最初にお二人のプロフィールをお聞きしたいので、まず長山さんからお願いできますか。

長山以前はGoogle Search、Google Play、Twitter などでスパム検出やデータ分析をしていました。JADEではFounder、CSO(最高戦略責任者)という肩書でいろいろやっております。

森野スパム検出一筋といった感じのキャリアですね。小坂さんもお願いします。

小坂私は新卒で代理店に就職して、SEOのコンサルを7~8年ぐらいやりまして、その後インハウスでSEOを3〜4年経験してJADEという流れです。

森野小坂さんはSEO一筋ですか?

小坂そうですね。

森野スパム検出一筋とSEO一筋の人がJADEさんに入るんですね(ちょっと怖い)……。

長山同い年なんですよ、実は。

小坂同い年なんですよね。就職した頃はSEOのエの字も知らなかったんですけど、いつの間にか10年以上の経験になっていました。

森野新卒当時のSEOはどんなSEOでしたか?

小坂就職したのが2010年なので、Yahoo!とGoogleのバックエンドが別の時代ですね。

森野 YST(Yahoo! Search Technology)ですか!

小坂 Yahoo! カテゴリ、ディレクトリ検索とかもあり。

森野 Google対策もあって大変だった時代ですね。

小坂逆に当たればめっちゃ上がる時代ではあります。リンクも全盛期ですし(笑)。

森野中国からリンク買うとかね。

長山中国から買ってたんですか?

森野私は買ってないですよ!

小坂そういう人たちもいましたね。

森野ありましたね。安かったですから。

小坂 IP分散の一環とか。

森野ありましたね。あー懐かしいな。

小坂そういう時代です。

森野そこからのキャリアということは……ちゃんとされている感じですよね。わかります。ありがとうございます。

 

「やらなくていいこと」を知るJADEのSEO

森野実際のSEOは何をされているかを教えて下さい。SEOってテクニックだったりアルゴリズムだったりとなにかと誤解されている人が多いのですが、AIでバンバン記事作るなり、すごい金額で記事を作るSEOとは違いますよね?量で勝負、みたいな感じです。

小坂大量生産しているところは、とにかく物量で攻める、検索ボリュームが少しでもあるクエリを全部狙って記事を作るやり方をしているんだと思うんですけど、JADEは基本的にそれはやらないです。

以前に垣本がお話ししたようにユーザー調査をベースにしていまして、この業種のこのユーザーはコンバージョンまでどういうフェーズがあって、それぞれどういうコンテンツが必要で、ここがないから作りましょう、というやり方しかやってないですね。


【ユーザー調査ベースのコンテンツ設計、こちらです】

blog.ja.dev


森野いろんなツールを使ってキーワード調査してどうのこうのとか、表示回数とかを見るのはほとんどやってないですか?

小坂ざっとどういうクエリがあるか市場を把握するための調査はしますけど、あくまで参考です。メインのクエリがあったとしても、そこの順位だけを狙うということはしないです。

森野今はSEOツールが多いですよね。それを見ながら競合がこうしているからこうしましょう、ということもありますが。

長山そんなのあるんですね!

森野あるんですよ! このクエリで出る上位がこの記事で、そこの見出しはこうだから……というのですね。

長山検索してクリックしていけばよくないですか?

森野そういうことなんですよ! そういうことなんですけどね。

小坂ツールで取ってこられるのは見出しレベルまでが多いはずですけど、それを見たからといって、その記事がなぜ上位に出ているのかは絶対にわからないので、意味ないかな~と思っています。

森野真似をするのならいいけどもっと深い部分を知らないといけないということですね。
あとはタイトルとか見出しの調整とか細かいことをやる人たちもいます。このあたりはやるけど、いわゆるメインのSEOではない、っていうところですよね?

小坂もちろんやりますけど、それだけで結果が出せることは少ないです。早めに効果を出せそうな部分として、「最初にこれがうまくいきそうだからさっとタイトルの改善をやっておいて、その後に記事の内容を良くしていきましょう」という流れになることが多いですね。

長山場合によってはタイトルの改善だけをガッツリやることもあります。特に大規模サイトとかだと、タイトルのパターンをいくつか用意してABテストなどをやってみて、良いものを反映させることもあります。大規模だと全体の改修はなかなか進みませんので、やりやすいところをしっかりやるイメージです。

森野都市伝説的なものやハック的なもの、「JADEさんだからすごいこと知ってるでしょう」みたいなのもないですよね?

小坂ないんじゃないですかね。

長山ないと思います。

森野長山さんのキャリアとかをお聞きしていると、JADEさんなら知ってそうな雰囲気があるんですけど。

長山僕がGoogleの検索エンジンだったり、Googleという組織がどう動いているかはよく知っていますし、それについて社内で教育したりもします。かといって、それによって特殊なことできるというより、「やらなくてもいいことがわかる」ほうが大きいです。

小坂確かに。

長山検索エンジンの中身がわかってないとか、Googleっていう組織がわかってないと、ある施策が効くという話を聞いたときに、それが本当に効くのか、それともただの噂なのかって判断しづらいと思うんです。その中身がわかっていると、これは効く、効かない、という判断がしやすいっていうのはありますよね。

森野なるほどなるほど、そうですよね。SEOに関しては本当に誤解されていることが多いので、「これが効く」ってよく聞く言葉ですよね。

長山ケースバイケースですからね。

小坂「絶対上がる」みたいなのって絶対ないんですよね。「絶対」に「絶対」を返しちゃうけど。

森野 JADEさんだから何か秘密を知っていて、「ちょっと頼んだらチャチャチャっと上がる」ということはなくて、真っ当にやる感じですね。

長山本当に真っ当にやるだけです。

 

検索の仕組みと体験を整理した2つのモデル

森野 JADEさんのウェブサイトを見ると、「検索エンジンモデル(DCIR)」と「検索体験モデル(QCLS)」があります。こういうことを書いているSEO会社さんはほとんど見たことがなくて、何か目新しいイメージがあるんですけど、この2つのモデルはどなたが考えられて、どういう意味なんでしょうか?

長山基本的には僕が考えたものですね。

JADEを始めたら、Google時代よりもいわゆる普通にSEOをやっている人たちと話す機会が増えたんです。僕の中の問題意識として、SEOとは何で何をやるべきなのかという定義の部分と、ある施策をやるときに、それを何のためにやるのか、どういう数字を追うのかが、判然としないままされている方がすごく多いことがあるんです。これらについてきちんと定義されているフレームワークみたいなものが巷にない、というのが一番大きかったですね。

それを整理しようということで作ったのが、「検索インタラクションモデル」です。先ほどの「検索エンジンモデル」と「検索体験モデル」を合わせたものですね。


〈検索インタラクションモデル、詳しくはこちらから〉

blog.ja.dev


森野 Googleでの常識と世の中の常識にギャップがあったわけですね。

長山「検索エンジンモデル」の方は、Googleの側で発表している「検索エンジンがどのようにウェブサイトを処理するか」という一連の流れに沿ったものですけど、「検索体験モデル」はイチから作った部分でもあります。

「検索体験モデル」も、検索ユーザーが検索エンジンで検索クエリを書いて、1つのURLを選んでクリックして、遷移先のURLに着地して、そこからサイト内で回遊する、っていう当たり前の話なんです。その当たり前をちゃんとモデル化して、このステップのどこを改善するためには何に着目していきましょう、みたいな話ができるようになったのが、新しいところかなと思います。

小坂さん、実際使ってみてどうですか?

小坂解像度が明らかに高くなりますね。

私も前職にいた頃までは、「URLがインデックスされて表示されるまでの流れ」などの基本的な知識は持っていたものの、厳密に「今はどこのフェーズに対して何をやっているか」までを明確にしていなかったことをJADEに入って気づきました。

大規模サイトであればあるほど「インデックスされない」という課題があって、それを解決するためにどこがボトルネックなのかをわかりやすくするモデルだなと感じています。

森野インデックスされないとひとことで言ってもたくさんの問題がありますよね。クロールされていないのか、クロールされていてインデックスされていないのかなどです。

小坂 SEOって「表示されてランキングが出るまで」のことを言われがちなんですけど、その後の「検索ユーザーの動きの話」になると、それってUXの話じゃないですか?みたいに、別の部署の仕事になることが多いんですよね。でも、ユーザーの動きが分からないとうまくいかない。どちら側も見ていくという意味でも、「検索エンジンモデル」と「検索ユーザーモデル」を両方意識するのはものすごく大事です。

森野 SEOをやっている方で、この「検索エンジンモデル」を知らない人って、ちょいちょいいますよね。

長山いますよね。

森野どうやってSEOをやるんだろうといつも思うんですけど。

長山わかんないです(笑)。

森野そもそも「Googlebotに見つけてもらって、インデックスされて、評価されてなんぼ」っていう話ですけどね。

小坂インデックスされない問題でよく言われがちなのが、「クロール済み・インデックス未登録」のステータスが出ているから「サイト内のどこかからリンクを貼りましょう」というのですね。もうクロールされているんで、リンクじゃないんですよ。このあたりからわかっていない人が多いです。

森野「クロール済み」と書いてあるんですけどね……こういったのは多いですよ。あとは「記事の品質が~」とよく聞きます。

長山品質ってなんですかね。

森野「インデックスされてないからGoogleの評価が低い」とか、抽象的な言葉なんですけど。

小坂ユーザーにとってまったく有益でないページであれば、インデックスされない可能性もありますけど、何かしらのオリジナルなものがあれば、ほとんどインデックスはされるはずですけどね。

長山そうですね。

小坂品質だけの問題ではないと思いますし、逆に「品質、品質」と言っているURLのステータス見たら、そもそも検出もされてない、みたいなこともあるかなと。

森野今の話は長山さんからしたら他の人が知らないっていうのは、新鮮だった感じですか?

長山新鮮ですね。というか、知らないでどうやってやっているのか、よくわからないというのが正直なところです。

森野中の人経験者からするとそうなりますよね。

長山このモデルを作ったので小坂さんみたいに解像度も上がって、お客さんにも伝えやすくなった部分はあるんですかね?

小坂例えば「discoverの課題」に対して施策を実行していて、その結果、「何々という指標がこうなります」というのが、全部説明できるのでわかりやすいし、整理もしやすいかなという気がしますね。

森野今ここに問題があるから、こういう対策をしている、と言えることですよね。そうじゃないと、順位しか言われないですもんね。

小坂 そうなんですよね。

長山順位については、「最終的に順位が上がりました。それでクリックが増えました。良かったですね」となるのがゴールであるかもしれませんが、そこに行き着くまでに動かさないといけないレバーがたくさんあるので、順位だけに着目すると、やっぱりあんまりハッピーなことにはならないと思います。

森野この前の「平均検索順位」の記事ですね。

長山小坂さんが書いたやつ。

森野そんなことあるの?とびっくりしました。「今の順位って何だよ」と思ったんですけど、レバーを知らないとそうなっちゃうんですよね。

小坂そうですね。

 

じゃあ実際どうやってる? JADEのSEOの進め方

森野具体的なこともお聞きしたいのですが、仕事でSEOの依頼があったときに「もうサイトが酷いです」と「ぐちゃぐちゃです」という場合、モデルの中のどこから着手するんでしょうか?

小坂サイトのぐちゃぐちゃ度合いというか、どこに一番致命的な課題があるか次第なんですけど、DCIRが基本的には優先です。

そもそも検索結果に表示されない限り、つまりある程度のランクがついてない限り、その後の施策をやってもあんまり意味がないので、DCIRのところは一通りやる。その後、QCLS側っていうのが基本ではあります。

森野ウェブサイトの作りの部分まで、提案するなり、「こうしましょう」とするイメージですか?

小坂プロジェクトの進め方の基本としては、最初にプロジェクトチーム全員でブレストして、「何が課題としてあるのか」「その中で何が一番重要なのか」を一通り出し切ります。次に6ヶ月とか1年ぐらいの期間でロードマップを敷きます。「まずどこからやって、その後に何をやって」ということを、重要かつ成果が出やすいところから、サイトごとに優先度をつけて順番にやっていく感じですね。

森野サイトの作り、サーバーなど問題も含めてプランニングするということですね?

長山受注するときにあらかじめ「こういうことをやる可能性がありますよ」とか、あとは実際に発注いただく前に簡単に診断して、「おそらくこのあたりに問題があるので、こういうことをやっていただくことになると思いますけど、いいですか?」と説明しますので、実行できる前提で受注することになっています。そうじゃないと、お金だけいただいて「何も進まない」となってしまうので。

森野どうでもいいコンテンツが山のようにあった場合っていうのはどうするんですか?noindexにするのか、削除しちゃうんですか?

小坂まったく意味のないようなものだったら、消してしまったほうがいいですし、似たようなコンテンツが乱立するケースでは、その中で一番有益で残すべきものだけを残しますね。リダイレクトしてコンテンツを集約して、「一本ちゃんとしたものを作る」というのは……めちゃめちゃ大変なんですけど。

森野だと思います!今、さらっとおっしゃったんですけど、「ここにリダイレクトする」というのは、なかなか判断が難しいですよね。似たようなのがいっぱいあったりするんで。

小坂基本はGoogle Search ConsoleやGA4とにらめっこしながら、それぞれの記事でどんなクエリで流入が取れていて、どの記事が一番滞在時間が長くきちんと読まれているかというのを一通り見て、一歩一歩やっていくという地道な作業になります。

森野わかります、大変な作業ですよね。アウトプットはすごいシンプルだと思うんですよ、今の話って。

小坂調査にはものすごく時間がかかるんですけど、「このURLのうち1と2を3にリダイレクトしてください」みたいに数行で終わるんですよ。

長山はははは(笑)

森野 別の記事で書きますが、村山さんと郡山さんの話にもありましたね。アクセス解析も最初にカスタムイベントを全部作って設計して、トラッキングにするまでがすごい大変だっておっしゃっていたんですけど、アウトプットはシンプルというお話でした。地道に調査して、やりやすい環境にしていくのが重要なんですね。

長山我々のビジネスはアドバイザリーです。ちゃんとリサーチをして考えて、「こういうふうにやるのが多分ベストですよ」とアドバイスするのが、我々のバリューだと思っているので、ここはちゃんとやらないといけないですよね。

森野このあたりはJADEさんの文化として根付いている感じです。

もうちょっとだけ細かい話をします。検索体験のモデルについてなんですが、これってクエリがあって、それに基づく「体験」の方ですよね?

長山そうです、体験の方ですね。

森野そうなると、ページの内容って結構重要ですよね。仮にそのページがいまいちだと、コンテンツ作りも対応されるんですか?

長山はい、そうですね。

小坂やりますね。

森野 SEOの一環として、「こういうコンテンツが必要です」という形で提案するんですか? いわゆる「コンテンツマーケティング」ではなく、クエリに応じた「こういう記事が必要だ」という感じで。

小坂そうですね。現行の記事では情報が足りないから追加しようとか、記事ページにランディングしているけど「これは機能説明ページの方が良いのでは」といったケースもあります。結果的に、コンテンツマーケティングとして依頼されていなくても対応することが多いです。

森野記事を書いてしまうこともあるんですか?

小坂書くこともありますが、文章をがっつり書くことは少ないです。「この構成で、見出しはこんな感じで、ここにこの情報を入れる」というレベルで提案することが多いですね。

森野なるほど。UXやUIについても提案されるんですか?

長山はい、例えばランディングページのファーストビューで、「こういうUXやUIにするべき」という具体的な項目を作ることもあります。

森野ページごとにやることが変わるということですよね。

小坂基本的には変わります。特定のページで効果が出るパターンが見つかれば、横展開することもありますが、すべてやらなければいけないわけではないです。

森野改善点がわかるのは、やっぱり経験ですか?

小坂経験もありますが、データから判断することが多いです。例えば、ファーストビューで直帰率が高いとか、スクロールされていない場合は、情報が不足している可能性が高いです。

長山広告のポップアップが邪魔になっている場合もありますね。

小坂ヒートマップを見ると、広告の×印が真っ赤になっていたりして、改善点がデータで明確になることがあります。

森野やっぱりデータを元に目視で確認するんですね。

小坂そうですね、自動化できる部分は少ないです。

森野その話を聞くと安心しますね。

小坂特別なことはしていなくて、必要なことをやっているだけです。課題をどう解決するか、コストを抑えて最適なソリューションを提示する点に力を入れています。それをデータで裏付けるのが重要ですね。

森野ここがしっかりしている会社って少ないですよね。

 

チームで進める、データ分析から実装までの流れ

森野先ほども少しお聞きしましたが、SEOの仕事を受注されてどのような流れで進むのでしょうか? 最初の1ヶ月で「これぐらい」とか、最初の調査で大体3ヶ月ぐらいかかるとか。

小坂多いパターンだと、最初の1ヶ月で課題をひたすら出し終わり、2ヶ月目以降、どういうスケジュール通りに進んでいくかを決めます。分析した内容の中で優先度が高い順にご提案していく感じなので、具体的にどこまで落とすかも、お客さんによってまちまちです。具体的な仕様まで落とさなくてもチャットレベルでのご提案で進むこともありますので。

ウェブサイトを制作会社さんに作ってもらっている場合ですと、資料を作成して細かくしてご説明してから、実装していただく流れですね。資料作成とご提案で時間がかかる時もありますので、その間にライトな施策を先に進める場合もあります。

森野明らかな欠陥などはよくありますので、そこから改善していくことも多いですよね。

小坂細かい分析なしでも絶対やった方がいいだろうってやつはあるので。

森野成果物は何かあるんでしょうか?また、 定期レポートみたいなものはあるんですか?

小坂ドキュメントはすべてNotionで管理していて、お客様にも権限を渡しているので、いつでも見ていただけます。作業段階というか、ほぼなにも書けていない状態から見ているお客さんもいらっしゃいます(笑)。

代理店によくある、月一回でランキングや流入状況のレポートを作って、ExcelとかPowerPointでお話するみたいなことはあまりやっていないです。今は、Amethystを見ていただければ成果がわかりますから。ここが上がった、ここが下がった、何があったかなどのサマリーをお渡しすることはありますけどね。

森野ここは小西さんのお話と同じですね。

長山そもそも弊社では、契約上、納品物のともなう請負ではなく、アドバイザリーとしての準委任契約にしていただくことが多いです。そういったケースでは、そもそも「納品物」に対して責任を追っているわけではありません。 

森野納品の理由がない。

長山そうなんですよ。

 

「順位より◯◯」。JADEが目指す本当の成果とは

森野 JADEさんにお願いするとやっぱり成果が出るんですよね? 前の状態にも影響されると思いますが、ちゃんとして整えていけば、おのずと順位も上がって流入も増えて質も上がるみたいな。

小坂多くのケースでは上がりますね。

最初のプラン通りに成果が出ないことはよくありますが、その場合は改めて課題を抽出し、別の施策を進めていくことになります。結果、ほぼ成果は出ます。

森野成果は順位とか流入面の成果なのか、ビジネス面の成果なのかどちらを重視されていますか?

小坂お客様によってまちまちではありますが、最終的に売上が上がれば良いと思っているので、売上を上げるためにSEOを行うイメージですね。

例えば、ビックワードの順位はずっと下がり続けているかもしれないけど、トータル流入が上がっていて、売上も上がっていればいいですよねということですね。ここも最初の段階でお客様と合意してから進めています。

森野いわゆるSEO会社さんってビジネス面がゴールでやっているところは少ないですからね。

小坂そうなんです。順位だけを追っていてもまったく意味がないんですよ。

長山順位に着目しすぎる人が多いと感じます。

競合と比較して立ち位置を理解するために順位を取得することはやるべきではあると思うんですけど、実際の改善に結びつくかっていうとそうでないです。どう改善をしていくのかを考えるのであれば、Google Search ConsoleなりGA4なりでちゃんと見ていかないといけないです。

ファーストパーティデータを見ないで、サードパーティデータだけ見ていても、あんまり意味がないなって思いますよね。

森野思いますね。Google Search Consoleを見るのが面倒なので、可視化のためにLooker Studioを使うのはありでしょうけど。

長山弊社とすればAmethyst繋いでください、と思います。

森野聞けば聞くほど、検索からの流入を最適化するということを普通にやっている感じですね。

小坂普通だと思います。

長山やるべきことを、やるべきようにやっているだけです。

小坂先ほどちょっとお話しましたけど、ここから先はUXの話だからSEOじゃないですよね、と言われるケースが時々あるんですけど、UX改善だろうがSEOだろうがなんだろうが、流入が増えてコンバージョンが増えれば手段は何でも良いと思うんですよね。

森野そりゃそうですよね。そこを、広告でやるかもしれないし、SEOが良ければSEOでいいですし。

長山先ほどの検索体験モデルで言うと回遊させるところまでがSEOで、分析するときの枠組みだとULSAというモデルになります。

森野 ULSA、村山さんも別のインタビューでおっしゃってました(※UがUser、LがLand、SがSurf、AがAcquisition)。

長山分析はコンバージョンまでを見るのですが、それもSEOの枠の中でやっていることが多いですね。CROとか、UX改善みたいな部分です。

森野一連の流れですからぶつ切りにするのはちょっとおかしいですよね。

長山そうなんですよね。ぶつ切りになってしまいやすい理由は、QCLSのうちQCとLSってデータソースが違うんですよね。QCはクエリとクリックなんでGoogle Search Consoleで見るけど、LSはサイトの中の話なのでGA4で見るわけです。なので放っておくと分断が発生してしまう。

SEOはこの人、解析はこの人と別れている支援会社もありますが、弊社は一緒にやっているので区別がないです。

森野ここはJADEの皆さんがおっしゃっていて一貫していますよね。クライアントからすれば成果が欲しいわけなので、支援会社都合で分けるのがおかしいと思っています。

 

クローラーの分析だけをやることもある

森野最近はAIが出てきて、Google以外でも検索できるようになってきました。PerplexityやChatGPTですね。ここもSEOの範囲として考えられていますか?

長山そこはSEOの範囲とは考えています。でも、それほど大きな検索ボリュームじゃないので、現状はまだGoogleとBingをちゃんとやっていれば良いと思っています。AIの検索データはどこから持ってきているの?といわれればGoogleかBingですしね。

森野 Bing対策もされているんですか?Bing Webmaster Toolsを見ながら。

小坂 Bing比率が高いサイトであればしっかり見ていますね。

長山特にtoBの領域、会社員の方々が会社のパソコンで、平日の日中にEdge検索するようなウェブサイトは、Bing比率が圧倒的に高いでしょうから。

大規模サイトのときはクローラーのログいただいて、クローラーの分析もやるんですけど、Bingのログもいただくことがありますね。

森野生ログ。懐かしいですね。アクセス解析も生ログ分析の時代があったのでよく見ていました。クローラーがいつきて、どれぐらいの頻度で来ているとか、知らないうちにBotと仲良くなるという。

小坂今の世の中では見ている人が少ないですよね。

長山弊社の場合は自動的にBigQueryに貯まるようにして、Looker Studioなどでビジュアライズすることが多いです。

小坂 Google Search Consoleで出てくるインデックスステータスだけではもう足りないような規模のサイトは見た方がいいかもしれないですね。数百ページのサイトであれば、そこまでやらなくてもいいんですけど。

長山クローラーログの解析をやるだけの案件もありますよ。

森野うわぁ……地味ですね。

長山他にできるところがないので(笑)。

森野すごい地味ですけど、やったら意外と面白いからやりたい人がいるかもしれませんね。

長山面白い仕事だと思っていますけどね。

小坂クローラーの分析に興味がある人はぜひともJADEへ(笑)

当たり前のことを当たり前に

森野 JADEさんってやっぱり面白い会社ですね。

長山それは多分、僕がそもそもSEO業界出身じゃないからだと思います。

森野あ、そうか。そもそもの検索サービス提供側ですよね。

長山はい、他のSEOの会社はこういうことをやっているからうちも、という発想でSEOをやっていないんです。

小坂確かに、それはありますね。

長山 SEOのフレームワークがあって、フレームワークに基づいてやるべきことをやっていこうというスタンスなので、クロールも必要なフェーズの一つですよね。だからクローラーログを見るべきとなります。

森野長山さんというかJADEさんのSEOはそれなんですけど、世の中で知られているSEOの9割ぐらいが違うイメージなので、違和感があるんですね。SEOだけど違って見えちゃうのは、そういうところかな。

小坂そうかもしれないです。一般的な代理店、特に昔からの代理店でやっていることは、やっていないなとは思いますね。

長山例えばどういうことをやってない?

小坂各ページの見出し要素の最適化みたいなのは、たぶん今でもやっている会社が多いと思うんですけど。

森野 Excelでタイトルをこれにして、descriptionとか全部こうしろってやつですね。

小坂それです。最終的に出てくるものが同じ「タイトルとdescriptionの改善」であったとしても、スタート地点がかなり違っています。世の中の大多数の代理店では、とりあえずSEOって見出しの最適化必要だから見出しを改善しましょう、から始まるんですよね。

JADEの場合は、検索ユーザーはこういうニーズで検索しているから現状のタイトルやdescriptionだと不十分。だからこうしましょう、という流れなんです。

森野小坂さんってJADEに来られたときに、違和感があったのか、それともこれだ!と思ったのか、どっちでした?

小坂私、JADEに来る気全然なかったんです(笑)。JADEオフィスのど真ん中で言っていますけど(笑)。

森野今ここで言いますか(笑)。

小坂前職でも楽しく働いていて、やりたいことがやれている会社だったので、あんまり転職するつもりなく生きていたんです。でも行ったら面白いんだろうなとは思っていました。自分が今までできていなかったことが、もしかしたらできるようになるかもしれないっていう漠然とした期待があって。

実際に来たあとは、できなかったことができるようになっているので、スキルアップはした印象はあります。

長山例えば、どういうこと?

小坂今までデータ見てなかったわけではないのですが、BigQueryとかは使えていなかったので、より正確にデータが見られるようになりましたね。また、フレームワークのおかげで解像度も明らかに一段階上がっているので、インデックスされないといった課題に対する施策の持ち玉が明らかに増えていたりとか。とにかく、課題に対して一発でこれだなって出せるようになった気はしますね。

長山いい話だ。

森野やっぱり、まともなことを、まともにやっているだけだから伝わりづらいんだろうなと思いました。これをどうやって書いたらいいかわからないですね。

小坂これ当たり前じゃんって、なんかちょっと馬鹿にされるぐらいの世の中の方がいいですけどね。

長山難しいですか?

森野そうですね。ダイエットするには規則正しい生活して食生活を整えて下さい。言われている感じなので。

小坂確かに確かに。

長山摂取カロリーを消費カロリーよりも少なく。

森野そしたら痩せるってことですよね。

 

取材を終えて

何かしらすごいことを期待していた方、スミマセン。そんなものはなかったです。聞けば聞くほど、当たり前のことを当たり前にやっていることがわかりました。自社のページが検索エンジンに表示される仕組みがわかっていて、検索エンジンから訪れてからの流れもわかっていて、最初から順番にチェックして最適化していく。

これで成果が出るのは広告、GA4、SEOなどすべてがつながっていて、「ユーザーを意識」して「やるべきことをやる」というスタンスだからだと思います。すべては手段であって、クライアントのゴールに到達するためにどうするのか?だけを考えているからなのでしょうね。

 

〈著者プロフィール〉

森野誠之(もりの・せいじ)

Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。Googleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト改善支援を中心に、Web制作会社と提携し分析から制作まで一貫してのサービスも開始。最新情報を押さえながら、地方かつ中小企業向けのノウハウをわかりやすく説明できる数少ない人物。平日毎日発行される、Webマーケティング関連情報をまとめたニュースレター(毎日堂)は、業界内でも愛読者の多い人気ニュースレターとなっている。名古屋と徳島の二拠点生活中。尊敬する人はゴルゴ13。

 

JADEのサービス、詳しくはこちらから

ja.dev

 

 


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